新聞部部員AとBの事情。
案の定、彼女は保健室の机を我が物顔で陣取り、その顔に似合わない大量の食料を広げ片手を上げこちらに笑いかけていた。
「今度ミズミズって読んだら油性ペンで顔中落書きさせていただきますよ、緋芽(ヒメ)先輩。」
「馬鹿ね、そんな事したらあなたの命はないと思いなさい。」
フフッと微笑みながら“お姫様”はふと視線を利郎の後ろに移した。
「あら、あららら?」
みるみるうちに緋芽の瞳が輝いていく。
パイプ椅子をガタガタ言わせながら限界まで斜めになるお姫様に比例して、後ろに添えられた小さな手に力が加わる。
利郎が自分の後ろをのぞき込むと、柚木が青い顔してふるふる震えながら緋芽を観察していた。
「…何ビビってんの?柚木。」
「え、いや、だってさっきの二人のやり取り、やたら黒いオーラが出てたというかなんというか……ガタガタ」
「ねぇ何?!ミズミズ何後ろに隠してんの?!」
緋芽は更にガタガタ椅子を動かしながら目をキラキラさせていた。顔にも「ワクワク」と書いてある。