新聞部部員AとBの事情。
緋芽先輩と部長の関係は、部員の間でも公認というか、二人をあまり知らない奴らから言わせると“美女と野獣”そのものらしいが、案外お似合いのカップルだったのだ。
幼なじみのまま大きくなった二人には、今回ほど離れた経験はないんじゃないだろうか。
利郎にとってはどうでも良かったが、さすがにこのまま緋芽先輩が留年なんかしたら後味が悪すぎる。
「部長、髪を切ると言うことは、けじめをつけるということです。」
柚木のいつになく真剣な声で、利郎は現実に戻された。
「部長は私にとってスーパーマンなんですよ?ヒーローは、一度や二度打ちのめされたって、立ち上がるもんなんです。」
「……。」
「……。」
珍しく部員達は野次も飛ばさず全員静かに柚木の話に耳を傾けている。
「部長!行きましょう!ヒメちゃん先輩には保健室で待って貰ってるんです。」
ね?と、すがるように柚木は部長を説得する。
「………。」
部長はぐっと拳を握り直した。