新聞部部員AとBの事情。
崇城の顔を見るなり一気に不機嫌な不良の顔になる部長。せっかくの清潔感が台無しである。
「なんだよ。また縛られにでも来たのか?崇城さんよぉ!」
部長はゆっくりと崇城に近付き、首をもたげて下から威嚇する。
「お前のヒィヒィ言ってる不様な姿を見てる分にはこっちも楽しいけどよぉ、まさか自分からお願いにくるなんて思っても見なかったぜ?」
明らかに“悪役”の面をした部長の背中に「これから愛しのハニーにセカンドプロポーズしてきます(ハート)」と書いた紙でも貼ってやろうかと利郎は思った。
早く行って来いよ。
崇城なんかに構ってないで。
緋芽先輩をまたしてるのだろう?
崇城のいつにない真剣な顔に利郎は嫌な予感がし、二人を止めに入ろうと思ったところで、崇城が口を割った。
「前田、俺と勝負してくれ。」
ああ、やっぱり。
絶対長引く。
…もう緋芽先輩が泣くところは見たくないのに。