新聞部部員AとBの事情。
………‥
「な、な、何事?!」
「あ、姫。」
淀野の間の抜けた声が部室にやたらと響く。
このタイミングでまさかの緋芽先輩が部室にやってきたのだ。
柚木が無断で約束を破るはずないと思って様子を見に来たのであろうか。
脳みそがガンガン揺れて、利郎は上手く考えられない。
「え、…あの、水島先輩、、庇ってくれたんですか…?」
怪我してませんか?!そう耳元で叫ぶ柚木を無視して、倒れてきた脚立をガシャンと押し避ける。
「…柚木、ちょっとうるさい。耳元で叫ばないで。」
頭に響くんだ。
柚木の声は特に。
「え!やだ!哲?!どうしたの?!大丈夫?!」
緋芽先輩はまだ白眼を向いている前田部長に駆け寄り、その間抜けな顔をその白い両手で包み込んだ。
「なんで?!なにがあったの?!」
緋芽先輩は部員の顔を縋るように一人一人見つめていく。
「…んー、あの、えっと…」
一人無傷の淀野が頭をポリポリかきながらハッキリしない声を出す。
少し説明に時間がかかりそうだ。
簡単にいうと部長の自業自得なんだけれども。