新聞部部員AとBの事情。
利郎はズキズキする左頭部にさり気なく手をやる。
髪の間から指を入れて引き抜くと、ベタッと血が付いていた。
「(あ。)」
…まぁいいか。
今はこの成り行きを見届けなければならない。
どうせこじれてもそのしわ寄せは自分に降り注いでくる。
面倒な事は早めに終わらさなければ。
「…‥ん、」
「! 哲?!」
やっとこさ部長が目を覚ました。
目覚めて一番に涙目の緋芽先輩のドアップ。しかも緋芽先輩に膝枕されているという驚愕の事実に、部長はだんだんと顔を鬼のように真っ赤にしていく。
同じクラスなのに会うのも久しぶりなのだろう。部長は口をパクパクさせるだけで全く声が出せていない。
「哲!どういうことなの?!説明して!!」
え?というように部長が周りを見渡すと、気まずそうにしている部員たち。なんだかよくわからない事になってきたと困惑する恋敵。
あ、俺負けたのか。
そう思うと大好きな人の前なのに、部長は涙が出てきてしまった。