新聞部部員AとBの事情。
その場にいた全員が目をむいている中、ぷんすかぷんすか怒っているお姫様が一人。
「私が怒ってるのはあんな教室なんかで!…その、コクハク…してきた事よ!!」
「…。」
部長は下からぷんぷんしている姫を放心状態で見つめていた。
「信じらんないわよ!あんな場所で!しかも歌まで私の名前に置きかえて歌っちゃって!そもそも哲はおんちだし!!恥ずかしくて死ぬかと思ったわよ!しかもねぇ…!」
緋芽先輩は一度ハァ、と呼吸を落とし、部長の目を見つめて話す。
「あんた、その時、つき合っちまおうぜ~、とか、緋芽は俺のもんだぜ~、とか、結婚しちまおうぜ~とか軽く言っちゃって、大事な、肝心のことは言ってくれなかったわ…。」
ポトンと、部長の頬に上から水滴が落ちてくる。
「一言も、…私の事を好きだって言ってくれなかったわ…。」
「緋芽…。」
「今みたいに、真剣に言ってくれたら良かったのに。」
「…緋芽、泣くな。…ごめん。」
「…馬鹿テツ。…ぐすっ」
「緋芽…。」