新聞部部員AとBの事情。
………‥
「せ、先輩!大丈夫ですか?!」
「……。」
「やっぱり庇ってくれた時に怪我してたんですねっ。ほんとにすみません!」
「……。」
水島先輩はそうとうしんどいのかただひたすら無言で廊下を進む。
いつも何考えてるのかわからないけれど、今は少しだけ怒っているようにみくの目には見えた。
ガラガラガラン。
保健室にはさすがに誰もいない。
みくは急いで消毒液を探す。
「ちょっと待ってて下さいね!」
ちょこまか動くみくを水島はじっと見据える。
「消毒もアレですけど、やっぱり頭打ったらすぐ病院に行った方がいいですかね?どうしま…」
「柚木。」
その抑圧のかかった声に、みくはぴたっと動きを止める。
「…。」
「柚木、お前は馬鹿だ。」
「…。」
急に優しくなったその声に、みくは止まっていたハズの涙をまたポロポロ流し始めた。
「…っ、…ふぇっ…っ。」
先輩は気付いてた。
気付いてたのだ。
感動の涙じゃないって事に。