新聞部部員AとBの事情。
みくはニッコリと利郎に微笑む。
「それに、優しい水島先輩も居ますしね!」
「…別に、俺は優しくない。」
「ほら!先輩すぐに照れるーっ」
「だから照れてもないし、そもそも優しくないから。」
「優しいですって!」
「…。」
ニコニコと食い下がるみくに、利郎はわざとらしくハァーとため息をついた。
「そこまで言い張るなら、」
カタカタと利郎は席を立ち、ひょいっとみくの隣に腰かけた。
「?」
「証明してやろうかな?」
そうみくの耳元で艶めかしく囁くと、利郎はみくをぐっと抱き寄せ、その細くて白い首に顔をうずめた。
「…ぇっ…ー!先…っ?!」
みくは全身に感じる先輩の体温と、首に走る感じたことのない甘い衝撃に意識を失いそうになる。
な、
な、
なっ…!
何をされたのかというのは、五秒後じんじん痛む首筋の感覚とともにやっと分かってきた。
顔が熱を持って仕方ない。
そんなみくを、余裕の表情で見据え利郎は扉に消えていく。
「どう?酷い男だろ?
これからも優しく攻めるつもりはないから、
覚悟しておいて。」
そんな言葉に、みくは首を抑えて、ただ彼の消えていった扉を見つめ続けるしかなかった。
首の付け根がヒリヒリする。
…どうしよう。
こんな跡、貼り付けて家になんか帰れない。
「……いっ、意地悪です!!泣」
放課後の部室に、みくの声だけがやたらと響いていた。
Fin