新聞部部員AとBの事情。

腹を抱えて大爆笑する淀野の後ろの方で、いつもより複雑そうな顔をした柚木が視界に入った。


珍しく口を結んで、部長をただ見つめている。


あの時は壮大な男泣きにドン引きしてるもんだと思っていたが、なるほどそういう事だったのか。










気まぐれで出した“新聞部らしい仕事”を前に柚木はまだ頭を抱えている。


「(柚木が部長を、ねぇ。)」



その時、ガラガラバタン!!と勢いよく扉が開き、ぞろぞろと彼らが帰って来た。先頭にはもちろん部長。


「ガハハハ!!お前達!今帰ったぞよ!!」


殿か。


「帰ったぞよ!!」


「ぞよ…」


続けて鈴木、山本と部長の真似事をする。利郎はすべてスルーして、自分の為に入れた玄米茶を上品にすすった。




「あ!部長!!おかえりなさい!」



パッと花が咲いたようにはしゃぐ柚木の後ろ姿を見つめながら、柚木の気持ちに気付かなかった自分を不思議に思った。

こんなに分かり易かったのかと。


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