新聞部部員AとBの事情。
腹を抱えて大爆笑する淀野の後ろの方で、いつもより複雑そうな顔をした柚木が視界に入った。
珍しく口を結んで、部長をただ見つめている。
あの時は壮大な男泣きにドン引きしてるもんだと思っていたが、なるほどそういう事だったのか。
◆
気まぐれで出した“新聞部らしい仕事”を前に柚木はまだ頭を抱えている。
「(柚木が部長を、ねぇ。)」
その時、ガラガラバタン!!と勢いよく扉が開き、ぞろぞろと彼らが帰って来た。先頭にはもちろん部長。
「ガハハハ!!お前達!今帰ったぞよ!!」
殿か。
「帰ったぞよ!!」
「ぞよ…」
続けて鈴木、山本と部長の真似事をする。利郎はすべてスルーして、自分の為に入れた玄米茶を上品にすすった。
「あ!部長!!おかえりなさい!」
パッと花が咲いたようにはしゃぐ柚木の後ろ姿を見つめながら、柚木の気持ちに気付かなかった自分を不思議に思った。
こんなに分かり易かったのかと。