*゚。シリウス。゚*
見ると、スーツの男の人が修二さんの腕を後ろに捻り上げていた。
「この子が嫌がってんのが分かんねぇのか?馬鹿だろ、お前」
男の人はクスクスと馬鹿にしたように笑った。
「ほら、どうする?このまま失せるか…腕折られるか。さっさと選べよ」
「ひっ…す、すみません!許して下さい!!」
修二さんは人が変わったようにガタガタしながら言う。
男の人が捻っていた腕を離すと、修二さんは一目散に逃げていった。
な、なんだったんだろ…いったい……。
でも、なんだか凄く怖かったのは分かる。
「大丈夫か?」
上から優しい声が降ってきて、あたしは顔を上げた。
「あ、は…い……」
あたしは男の人の顔を見てびっくりした。
だって…雅樹くんにそっくりだったから。
綺麗な茶色の瞳に、スッと高い鼻。
小顔で背が高いのだって…。
まるで雅樹くんのパパが若返ったみたい。
「あ…の…お名前、教えて頂けますか…?」
あたしは我慢できずに聞いてしまった。