。+風溶。+【短編】
家を出て学校へと向かう。
朝の新鮮な空気の中で
彼女の長い髪は揺れて、さらさらとした風をさらう。
隣にいる愛しい彼女の横顔を、ずっと見つめた。
その時だった。
耳を塞ぎたくなるほどのクラッシュ音。
あの時と一緒の尋常ではない車の叫び声。
一台の車が周りの車を巻き込んで信号も見ずに滑走していた。
酔っているのだろうか。
凄いスピードだ。
こっちへ向かって来る。
詩織は?
車は一直線に詩織へと向かう。
「詩織!」