。+風溶。+【短編】
--詩織 side
--詩織 side
気付いたら河原にいた。
さっきまで大好きなあいつと
笑い合っていたのに…。
これからもずっと一緒だと思えるほどあいつの隣は居心地が良かった。
けれど
あいつは今、私の傍を離れようとしている。
どうして?
植物状態なんでしょ?
幽体離脱なんでしょ?
だったら身体に戻ってまた一緒にいれるでしょ?
…違うんだね。
私ね
あなたの
分かりやすいところも
少しおどけたところも
素直じゃないところも
全部、全部
大好きだよ
だからまだ逝かないで
ずっと傍にいてくれるんでしょ?
一緒に買った二つの指輪
ずっと連なったまま
大切しろよ
って言ってくれた髪
切らないから
私が喋ったことに
いつものように
うん、うん
って頷いてくれるだけでいいから
ずっと傍にいて