。+風溶。+【短編】
とりあえずあいつが私の部屋に来ることに。
「うっわー、俺女の子の部屋とか初めてだ」
あいつは浮きながら正座している。
「嫌だったらごめんね」
私以外あいつの姿は見えないらしく、
外だと独り言の激しい女子高生に見えるようなので
部屋に呼んでしまった。
"好きな人が部屋に来た。"
こんなシチュエーション、甘酸っぱく緊張するべきなのだけれど
私の頭はそれどころではなかった。
幽体離脱?
植物状態?
大丈夫なの?
「長谷川さんっていつもどこ見てるか分からないよな」
「え?そう?
それは良いとして、どこの病院にいるの?」
「誰が?」
「裕也君…」
「ちょっとー長谷川さん。
俺はここにいるでしょ」
「そりゃそうだけど、様態が心配すぎて今日は眠れそうにもないよ」
「じゃあ…」
あいつが急にふわっと隣に座るから
全身の筋肉が一気に硬直した。
「今夜は俺がずっと側にいるよ」
照れながらそう言ったあいつは
またあの大好きな笑顔を浮かべてて
つられて私も微笑んだ。