王様と庶民~九条家長女のお話~
「……そんな事言われたの、初めてだ」
「親とか友達とかに言われたりしないんですか?」
あんなに素敵な笑顔なのに
「…俺に、友達なんていないから」
「え…?」
「俺に近づいてくる奴等は、俺の後ろの本郷家しか見ていない。親でさえ俺を道具としかみていない。
本郷家を継ぐ大事な跡取りとして、な」
それじゃあこの人は、
ずっと
ヒトリボッチ
だった…?
「そっ、それじゃあ、私と友達になって下さい!」
「…お前、話聞いてたのか?」
「私、先輩も知っての通り庶民です。クラスでは完全に異色で、浮いてます。友達なんていません。」
「…自分で言って虚しくないのか?」
「私は家だとかそんなのどうでもいいんです。
本郷家なんて関係なく“雪斗”先輩と、友達になりたいんです。」
「……」
「一緒にお弁当食べたり、くだらない事で笑いあったり、そんな普通の事をしたいんですよ」
「…やっぱりお前は馬鹿だ」
「なっ!」
頑張って思いの丈を素直に述べたのに、馬鹿って……
「いいぞ」
「え?」
「なってやる。お前の友達に」
「本当ですか?!」
入学して2週間。
友達が出来ました