王様と庶民~九条家長女のお話~
「あ、そうだ!私の兄弟たちの写真見ます?いつも持ち歩いてるんですよ」
手帳に挟んである写真を取り出す
「これが長男の史です。サッカーが上手いんですよ」
「これは次女の雅です。雅の肉じゃがは世界一美味しいんです」
「これは次男の翼です。運動が好きで、泥だらけで帰ってくることも結構あります」
「これが三男の樹です。頭のいい子なんです」
「これは三女の睦です。面倒見のいいお姉ちゃんですね」
「これが四男の棗です。この間小学校に入学したばかりです」
「これが五男の倭と四女の琴です。二人は双子なんですよ」
「で、最後に九条家の集合写真です。棗の入学式の時に撮ったんです」
あ、写真見てたら皆に会いたくなってきた
「仲がいいんだな、お前の家族は…」
「喧嘩もあったりしますけど、やっぱり家族ですから」
皆笑顔の集合写真に、頬は緩む
「写真か、…うちにそんなあるんだろうか」
「無いなら、撮ればいいんですよ!」
「は…?」
「撮りましょう!!写真。沢山撮って、アルバム作りましょう!!
あ、経費は是非とも割り勘でお願いします」
仕送りだけだと結構キツイんだよね
育ち盛りばかりだから
食費がばかにならない
春休みの数週間のバイトで貯めたお金もほとんど残ってないし
「ぷっ……あははは
やっぱりお前は馬鹿だ!」
「なっ!先輩私の事馬鹿にしすぎです!!」
「お前みたいな馬鹿は嫌いじゃない
カメラもアルバムも経費全部出してやる」
「え、そんなの悪いですよ」
「代わりにお前は家族の写真を見せてくれ。」
「!!はい」
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