王様と庶民~九条家長女のお話~


パーティーについて事細かく話す先輩の話は、やっぱり庶民の私にはよく分からなくて、


でも、先輩はパーティーが嫌いなのだということは分かった


「分かったか?」

「はい。お金持ちも大変なんですね」

「そうだな…」

「…あ、そうだった。先輩、お土産買って来ましたよ!」


鞄から動物園で買ったものを取り出す


「食べ物だと先輩のお口には到底合わないと思って、これにしてみました!!」

じゃーん!

とでも効果音がつきそうな勢いで先輩の手にそれを乗せる



「これは、…パンダ?」

「はい!動物園の永遠のアイドル、パンダですよ」

先輩はパンダのキーホルダーを訝しげに見ている


「…いらなかったですか?」

もしや先輩はパンダ派ではなくライオン派だったか!
事前調査すべきだった…


「いや、……ありがとう」

「!!」


先輩、今の笑顔は反則です



いつもの意地悪そうな笑顔でも嘘くさい笑顔でもない

優しく慈愛に満ちた笑顔


初めて見た先輩のその笑顔に、
私の心臓はどくん、と跳ねた


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