王様と庶民~九条家長女のお話~
「…お姉ちゃんって、損するタイプだよね。本当に」
「急に何さ!!」
「自分の幸せより人の幸せ願ってちゃ、
損しかしない…」
皆の幸せが私の幸せ
そう思ってずっと生きてきた
それは間違ってるの……?
「お姉ちゃんはもっと欲を出さなきゃ」
「……」
「……私、お姉ちゃんに幸せになって欲しい」
「雅…」
ああ、私はなんて幸せ者なんだろう
妹にこんなに想ってもらって
「運命なんて変えられるんだよ。
そのことはお姉ちゃんが一番分かってるハズ」
「……そうだね。」
「それにさ、しつこいのがお姉ちゃんのウリでしょ?」
「ははっ、それもそうだ」
「それじゃ、もう寝よう。お姉ちゃん」
「そうだね、雅」
「「おやすみ」」
少し、
ほんとに少しだけ、
運命に逆らってみようかと
結果が分かってるなら、
私と先輩が結ばれないと決まっている運命なら、
ほんの少し、
足掻いても、
いいんじゃないかな
もしかしたら、
もしかするかもしれない
だよね、雅
.