王様と庶民~九条家長女のお話~


「あ、でも」

「ん?」


箸を止めて、雪斗先輩は首を傾げる


「てるてる坊主はあります!」

「“てるてる坊主”?何だそれは」

「紙や布で作る人形なんですけど、
晴れることを祈って軒下とかに吊るすんです!

おまじないみたいなものですね」

末っ子の双子たちが、幼稚園で作ってきて、
家にはそれが吊るされている


「……行ってもいいか?お前の家に」

「………は?」


え、今先輩は何と?

あれか?
庶民生活見学?!



「何でまた急に…」

「お前の家だから行ってみたいんだ」

「!!」


先輩、そういう事言われたら私勘違いしちゃうよ?



「瞳の兄弟たちにも会ってみたいしな」

「いいですよ」


……先輩、疲れてるのかな?

家で何かあったのかな?



先輩が私を馬鹿にしないなんて可笑しいもん

変な意味じゃなくて、いつもの先輩らしくない




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