王様と庶民~九条家長女のお話~
自転車
「……」
いや、さすがに
ここまでとは
~自転車~
弟と妹達を見送って、
双子を幼稚園に連れて行って、
私は自転車に乗って学校に来た
…のだけど、
学校の門のまえには
高級車、高級車、高級車!
ロールスロイス、ジャガー、フェラーリにポルシェ
びっくりして開いた口が塞がらない
私の乗ってるのはセールで買った普通のママチャリ
色んな意味で浮いてます
「行ってらっしゃいませ、お坊っちゃま」
「ああ」
「本日はフランス語のレッスンがありますので」
「分かってるわ」
……駄目だ、次元が違う
同じ制服を着てるのに何たる疎外感
友達出来なそうだな…
はあ…
大きなため息をつくと、後ろから声をかけられた
「なぁ、お前」
「ん?」
見たところ初等部の生徒だろう
樹と同じぐらいの背丈だ
「どうしたの?」
「ぼっ、坊っちゃま!!」
彼の世話がかりだろうか、年配のおじいさんが彼を呼び止める
「下がれ橘」
「しかし、その方は」
「…聞こえなかったのか?下がれと言っただろう」
「っ、畏まりました…」
……彼、何者?
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