恋のレッスン〜先生は幼なじみ〜
「大輔、恥ずかしいから手を放してよ」


「ダメだね。手を放したらおまえ、逃げるだろ?」


「そんなことは……あっ」


前方からこちらに向かって歩いて来る人物を見て、“しないから”と続く言葉を私は飲み込んだ。


あちゃー

一番見られたくない人に見られちゃった。


その人物、すなわち西条先輩が、立ち止まってこっちを見ていた。


いつも冷静で、あまり表情を変えない西条先輩にしては珍しく、驚いたように、目を見開いて……


西条先輩に、私と大輔の仲を誤解されたら嫌だなあと一瞬思ったけど、考えてみたらもう関係なかったんだ。


だって、私はその西条先輩に、昨日はっきり振られたのだから……


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