恋のレッスン〜先生は幼なじみ〜
大輔に続いて一階の和室、床の間って言うのかな、に入った時、小さな仏壇と遺影に気付いた。


あ、私、一年前にこの家に来てたんだった。


柔らかい笑顔の遺影は、去年亡くなった大輔のお母さんだった。

私はお葬式の時と、確か四十九日の時にこの家に来ていたのだった。


それを忘れるなんて……


「大輔、お線香つけてもいい?」


大輔は私からおばさんの遺影に視線を走らせ、「お、おお」と言った。


大輔が蝋燭に火を着けてくれ、私は正座をし、蝋燭の火で線香に火を着けた。


おばさんの遺影に向かって手を合わせながら、おばさんと呼ぶには若すぎた大輔のお母さんの事を想った。


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