君がいるということ。
横幅だけで縦幅は見ていないが、多分縦幅も結構あるのだろう。
とすれば、かなり家は大きい。
大豪邸とは行かなくとも、アメリカの庭付きの家ほどはあると簡単に予測できる。
「おい」
詩花は再びバックに手を突っ込んでいる臣に声をかける。が、臣は眼前に捕らわれているばかりで気づかない。
「おーい!」
今度は大声で、臣の肩を叩きながら呼んだ。
臣は、はっと耳を開き、顔を上げて詩花を見た。
「なに?」
「おまえんちってここ?」
「うん? そーだよ?」
当たり前のように臣は言う。
「でかくね?」
「そう? アメリカなら普通だよ」
「ここは日本だっつーの!」
「あれ?」
詩花の突っ込みもむなしく、臣は視線を詩花から少しあげた。
詩花もつられて、しかめっ面のまま振り返る。
「湖(れい)ちゃん! 絵(かい)ちゃん!」
呼ぶと同時に臣は手を振る。
詩花の目には小さな人影が二つ、手を振っているのがやっと見えるぐらいだが、ズボンを履いていることと、仕草や身長を見ると、どうやら男のようだ。