君がいるということ。
詩花が、誰? と言うように臣を見上げ、その目をまた二人に戻すと、もうすぐそこの距離まで近づいていた。
「おまえ何してんの?」
髪の毛をワックスで綺麗にもっている湖が、詩花と臣を見比べながら言う。
もう目の前まで近づいた二人を詩花は鳩が豆鉄砲を食らったような表情で見つめた。
口がだらしなくあいたまま塞がらない。
目の前にいる湖と絵は全くと言っていいほど同じ顔をしていた。
「女の子……」
髪の毛がストレートのままVラインを保っている絵が、詩花を見下ろして呟く。
呆気にとられて何も言えない詩花を男三人が囲んだ。
「まじちょうどいーとこに来てくれたよ! 俺今日鍵忘れちゃったっぽくて」
苦笑いをしながら臣が言うと、二人は全く別の反応を見せた。
「まーじばっかじゃねーの!? 何回目だよ! むっちゃウケる!」
と湖。
「そりゃー大変だな」
と絵。
ついでに絵は、「湖、笑いすぎ」と言ってから、臣に「ほい」と鍵を差し出した。
「女の子を外に締め出すなよ」
「だから鍵が!」
「いーから早くあけろ」