君がいるということ。
真っ白の部屋で一人考えていた。
まさかこんな日を迎えるなんて。馬鹿みたいに悩んでいたあの頃の私に伝えてやりたい。
背もたれのないいすに座りながら、真っ白の手袋を取り、足元においてあった鞄から、ピンク色の携帯を取り出した。
何かが始まる前の静寂が、昔から好きだった。
その静寂の中にささやかに始まりのベルを鳴らすように、携帯を開けるカチと言う音が、狭い部屋に響いた。
私しかいないと分かっていながらも、少し申し訳ない気持ちが背中をさする。
ゆっくりとボタンを押す。
メール画面を開き、全て保護されている振り分けボックスを開いた。
友達との三日分ほどのメールしかないそのフォルダには、三年間の私達がぎっしりと詰まっている。
繋がりを薄く感じるようになってしまった世界で、今、私たちがこうしていられるのは、きっとどんなときもお互いがいるということを忘れなかったからだと思う。
懐かしいメールが決して消えることの無いアルバムのように並んでいる中から、私は一番最初のメールを選んだ。
"何やってんの?”
まるでその言葉を直に聴いているように、マイペースな性格がそこに記されている。
このどうってこと無い挨拶から、もしかしたら私たちは始まったのかもしれない。
運命なんて薄っぺらい言い分なんか絶対に使いたくない。
私は、様々な選択肢から、永遠にあいこが生まれ続けたのは、互いの存在を思い続けたことによって、二人に磁気のようなものが発生したんだって、そう思ってる。
全然ロマンチックでもなんでもないけど、そうとしか思えないんだ。
三年前に夢立高校に入学したとき、私はこの部屋のように真っ白な心を持っていた。