君がいるということ。
胸部まで伸びているその髪は、染めていないのに、白い光を浴びて、異様に茶色く見えた。
「あ。ねえねえ。竹中臣って知ってる?」
詩花の質問に、二人は机の棒人間から目を離し、詩花を見た。
先ほどまでは面白かった、雑な髪の毛も、今では不似合いな飾りものとなり、笑いを誘うものでは無くなっていた。
「へ? 一組の?」
「いや、知らん」
「竹中っしょ? あたし中学同じだよ」
優が詩花の髪の毛をいじりながら、きょとんと言った。
「んで、そいつがどうしたん?」
碧が詩花のペンを握り、棒人間に棒人間の友達を与えながら言った。
「っと……竹中臣ってどんなやつ?」
詩花も負けじと落書きを重ねながら聞く。
「どんなやつって言われてもなー……。あたし、んな知らねーし」
気づくと、詩花の机の上は棒人間のパレードになっていた。
今にも踊り出しそうないびつな細い人間が、協調性もなく、踊り狂っている。
いつの間にか手に持っていたペンを机に付き、優が机に顎をつけるようにしゃがんだ。
「でもめっちゃ変な奴らしいべ? 変わりもんなんだと。ま、一部の物好きの女子にはモテてたらしいけど」