君がいるということ。
「おい……まじで何する気だよ……」
怒る気力も失った詩花は、疲れを癒すように、向きが変わってしまった自分の席に腰を下ろした。
そんな詩花を満足げに見ながら、臣も向かいの席につき、ポケットから小さな箱を出した。
多くの目がこの後の展開に期待している中、臣はゆっくりと箱を開けた。
「トランプしよう!」
「……はい?」
ガタガタっとクラス中から落胆の音が溢れた。
ギャグセンスのいい奴は、イスからずっこけてるであろう。
マンガならまさに四コマ目。いい突っ込みで笑いを撮る感じ。これがバラエティー番組だったら、出演している芸人たちはおいしいところ。シリアスなドラマに組み込まれてる笑いの王道。
しかしここは教室である。
「え? おまえアホなん?」
「俺のどこがアホなんだよ。 こんな真面目なアホいないぜ?」
「自分でアホっつってんじゃねーか!」
カードをきりながら首を傾げる臣に詩花はイライラを隠しきれない。
「んで? 何やんの?」
「トランプだって。詩花アホアホじゃん」
「だー! もー! 何のゲームかって聞いてんの!」