君がいるということ。
カードを二つに分け始め、臣は当たり前のように言った。
「ババ抜き」
「あっそ……」
なんてショボいんだろう……。
心の中で呟きながら、一枚ずつまばらに増えていくトランプを見つめる。
「何であたしがあんたなんかとトランプ……しかもババ抜きをしなきゃいけないわけ?」
配り終わったトランプを手に取ると、二人でやることの重みを示すように分厚いトランプが、のしかかってくる。
全てを広げることは不可能なので、詩花は右からカードを落としていった。
臣も同様に同じカードを探し始める。
「理由その一。俺がババ抜き好きだから。理由その二。この昼休み中だけ彼女になってもらうから」
詩花はカードを依然として探し続ける、……はずがそうはいかなかった。
「あ!? おめー彼女の意味知ってんの!?」
「え? もしかして俺今バカにされてる?」
「ったりめーだろーがよ! なんであたしが!」
「ちょちょー。ストップストップ。俺今追っ手に追われちゃってるわけ。だから詩花がナイトになって助けてよ」
「ナイトになるとしたらてめーだろ!」