君がいるということ。


 ここで美咲の感情も描写したいところだが、全く持ってなにを考えているかわからない。

「おっしゃあ!」

 その沈黙の中、先に雄叫びをあげたのは臣だった。

「うっせ……。おめーこの状況で何考えてんだよ」

「見て見て! 3と3が揃ってた! 今気づいたー!」

 臣はカードを机に置き、両手でガッツポーズまでしてみせた。

「誰かこのバカとめてください……」

 昼休みの時間がなかなか終わらないのをいいことに、詩花はどんどんとよくわからない次元へと押しやられていく。

「わーすごおい。じゃなくて、竹中くんにはなしがあるのお」

 ガッツポーズが一段落したのを見て、美咲は臣の二の腕をギュッとつかんだ。

「あー……なるほどね」

 しかしまだ詩花がひらめく番が残っていた。

「アキバか。あんた。何? メイド志望?」

 詩花はそれだけいうと、臣の前のカードも全て自分の手に乗せ、机に立ててそろえ始めた。

「あ! 俺のカード!」

「それよりもおはなしい」

「……うぜえ」

 今、詩花が魔法を使えたとしたら……。恐ろしいので言わないでおくが、多分大変なことになっていただろう。


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