君がいるということ。
「だいじょうぶ。わかってたからあ。まあ将来そうなれば問題なしだしい」
臣の腕から手をひくと、美咲は詩花に向き合った。
「おしあわせにい。みいが二十六才になるまではね。あーでもメイドは永遠の十七才なんだったあ。たいへんだあ」
「きもっ……」
詩花は小さくそれだけ言い、他はあえて何も言わなかった。
そんな小さな一言を、臣は耳で丹念に捉え、本当に切れてしまうんじゃないかと言うほどきっていたカードをまとめて箱にしまい始めた。
それがまるでこの一件の終止符だと言うように、美咲は、「またねえ」とおしりを左右にふりながら教室を去っていった。
臣はそれを見てかそれともただの勘か、もう一度箱からカードを取り出し、きり始めた。
詩花が望んでいた昼休みの終わりを告げるチャイムが、一秒事に迫ってきている。
しかし何か言いたげな、臣のカードに向ける視線に、詩花は今が過ぎるのがもったいなくなっていた。
臣は手だけでなく、まるで全身を使ってカードをきりながら、詩花に言うべきことを探していた。
自分はバカだから。だから考えなきゃ。