君がいるということ。
その返事こそが冗談かと思った。
教師や親に、「少しは真剣に何か物事をやってみろ」と言われたことも多かった。
他の人から見たら、頷いてしまう言葉かもしれない。でも臣にしてみれば、まるで自分の生きていること全てがふざけていると言われているみたいで嫌だった。
ギターのチャックを一つ一つの凹凸を確かめるように開けた。
影がなくなり、空を映し出し始めたそれは、臣の手にとられることにより、本来の姿を取り戻すかのように輝き始めた。
マイペースを保ち続ける臣。
人に、特に自分より偉い立場の人に縛られるのが大嫌いな詩花。
どこか似ている二人の内面は、生きにくい場所に迷い込んでしまったウサギのようだった。
どこか小さく震えているような、意地を個性だと言い改めているような。
食い違い続ける二人のピースは、太陽の丸さに紛れて、いびつに移りゆくようだった。