君がいるということ。
いつも通り一日が終わり、朝が訪れる。
教室に入ると、放課後と正反対の騒がしさが、詩花の胸を痛くした。
「夢を育む夢立高校だってさー。詩花。どう思うよ?」
一番窓際の前から三番目の自分の席に詩花が鞄を置こうとすると、既にそこには一枚のプリントが居座っていた。
そのプリントを手に取り、鞄を横にかけると、国立 碧(くちたち あおい)がねじれた背中を直し、イスの背もたれをまたぐように座り直して、「聞いてる?」と詩花を見上げた。
「聞いてる聞いてる」
詩花はイスに座りながら、プリントを見た。
多分学校新聞と呼ばれるものだろう。
このてのプリントは、手にした途端にリサイクルボックス行きなのでちゃんと読んだことがない。
「んだこれ?」
自分に対する告知書でも読むかのように、一番上の大きな文字を見ると、碧が今言った通り、“夢を育む夢立高校”と書かれている。
詩花は思わず口を押さえた。
「まじで何だよこれ! ばっかじゃねーの!?」
「だしょ!? 嘘ばーっか! 夢を育ててもらってる記憶は無いっつーの!」
「あたし一瞬HR遅刻した罰かと思ったわ!」