君がいるということ。


「あたしさー。占いとか心理テストが大好きなんだー」

「は?」

 依然として暗がりを帯びている階段は、授業終了時刻をとっくに過ぎてしまったせいか、明るくする生徒がいなくて、バランスがとれていない。

 美咲は自分によりさらに影を背負っている詩花を見下ろした。

 真剣な話のときに目を見ている。それだけで、詩花が本当の自分を見ている気がしてくる。

「詩花はどう思うかわかんないけど、心理テストとか、あたしすんごい当たってると思うわけさ」

「また勝手に呼び捨てかよ……」

 どいつもこいつも。と呆れながら、しい様よりはマシかと、気持ちを制した。

「前にね。私三日連続ぐらい、心理テストが当たって、すんごいハッピーなことが起こりまくったわけ」

「そりゃーよーござんしたね」

「一回目は性格診断で、お喋りって出て……、あ、中学はあのキャラじゃねーよ? んでラッキーカラーはピンク! だから早速ピンクの鉛筆を買ったわけさ! そしたら翌日の数学の小テストで満点! もうドッキリビックリ」

 まだ続くのか……。と頭をかきながら、詩花は一応相づちをうった。


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