君がいるということ。
「……おい。いーかげん本題言ってくれよ。何であたしのことわざわざ呼び出したん?」
「あれ? 一気に行っちゃう?」
「勘弁してくれよ。どーせ、恋愛診断かなんかで、あいつと赤い糸が結ばれてるとかっしょ」
「あいつって、竹中君? だとしたら微妙にジャストミート」
詩花は、「微妙って……」とどうでもいい素振りを見せながら、美咲の本当の答えを待った。
しかし、聞く準備をちゃんとしている詩花とは違い、美咲は軽い口調で、「実はー」と切り出した。
「死に方診断で、イニシャルT.Zの人と結婚すると、苦しい思いをせずに死ねるって出て、ラッキーアイテムは、わら人形だったのさ」
「……はあ!?」
前につんのめってしまうほどに気が抜け、詩花はしっかりとあわせていた目を、躊躇いもなく切り離した。
どこからどこまでふざけているのか見当もつかないが、多分全て本気なのだろう。
美咲は途中で道を失った自分の視線を、もう一度、今度は目を合わせてくれない詩花につなぎ合わせた。
詩花ならわかってくれるとか、簡単な思いではなく、それ以下の、しかし大事なところで、何かを思い描く。