君がいるということ。
「もう五組行っても平気かね?」
臣も詩花の温もりを微かに感じながら、言った。
「多分普通に人いると思うけど」
「なんで!?」
「おまえバカか! 文化祭前なんだからみんな残って準備してるに決まってんだろ!」
「詩花俺がバカなの知ってるくせに!」
「論点はそこじゃねーよ!」
臣といると言い合いしかしてる覚えがない詩花は、果たして臣とまともに会話できる人はいるのだろうかと疑問に思った。
もしいるのなら見てみたいほどだ。
「じゃーどーすんのさ!」
「しらね! てめーで考えろ!」
「わかった! 考える!」
「理解はやっ!」
いきなり断ち切られた会話の線に、詩花はつんのめったような動作をした。
しかし臣はその動作の途中に、早くもまた会話の線を引いた。
「うちに来ればいーんだよ」
一瞬のうちに詩花は固まった。
詩花は今度のことには突っ込みもリアクションもさすがに出来ず、「へ?」と珍しく間抜けな返事をした。
「じゃ、決定で」
「ちょ! まてまてまてまて! おまえんち!? あたしが!?」
「大丈夫。にいちゃんもいるから」
「もっとダメだろ!」