君がいるということ。
「それは私の主観的考えだから、とがめられても困りますよ」
しかし詩花はそんなこと関係ないと言わんばかりに、あやなに文句を言い続ける。
その間に臣は詩花のバックを取りに行き、まだご立腹気味の詩花の手をもう一度握った。
「詩花。行くよ」
臣の行動に詩花が驚き抵抗する前に、あやなが口をおさえた。
「あっらー。知らない間にそういう関係?」
「違うからっ!」
詩花が急いで否定したが、臣はそんなのお構いなしに、グイグイと手を引き、そのまま教室から強制的に詩花を連れ出した。
あやなはそんな状況を無言で見つめ、二人が去ると、ダンボールに色を塗っている優と碧の下へよって、しゃがんだ。
「おー、あやな、どしたねー」
「うちらけっこー真面目にやってるっしょ」
はけをペンキの缶に入れ、出してダンボールに綺麗な赤の線を入れながら、二人は突然のあやなの訪問を迎えた。
「真面目っつーか……雑すぎじゃない?」
あやなは窓際で乾かしてある、塗り終えたダンボールを見て言った。
確かに塗り終えたはずのそこにはムラがあり、あちこちダンボールの茶色がむき出しになっている。