君がいるということ。
もとの薄い新聞紙の下に、何枚も重ねた新聞紙を擦り込ませていく。
「カネヨンさん取ってくるから、これ以上被害大きくしないでよ!」
あやなは地面にこすりつけて赤くなった膝を手でさすりながら立ち上がり、わかった? と念を押す。
碧と優は軽く手を挙げて返事をし、それを見たあやなが回れ右をしたところで、優がその細い足首を掴んだ。
「その前に、うちらに聞きたいことを言って行けや」
足首が強張り、その感覚が優の手に伝わる。
あやなはしばらく黙っていたが、両手をあげ、「はいはい」と言うと、離された足首を動かし、先程と同じ体制を取って、口に手を寄せた。
その行為で自ずと優と碧は耳を傾ける。
「詩花と竹中……ってさ……」
そこまで言って声を止めた。
何となく居心地の悪い感覚に、感情と体がギクシャクする。
しかしそこまで言えばもう全て言ってしまったも同然で、碧が続きの言葉をくんだ。
「付き合ってるかって?」
あやなは無言のまま、無数に頷く。
碧と優は顔を見合わせ、首を傾げた。
「あやな、あれはご主人様とペットの領域だよ」