姫は今日もご機嫌ナナメ
おかしいのは…
あたしだ。
「薫ちゃん、大丈夫??」
「…え??」
「顔…凄ぇ真っ青…」
「たっ…タケ先輩!?」
タケ先輩が、あたしの頭をポンポンってしながらそう言った。
凄く優しい手で、あたしを安心させてくれた。
「薫…こいつ、誰??」
「日浦、くん…??」
そんな時、腕をグイッと引っ張られて、日浦くんに身体を預ける状態になった。
「ねぇ」
いつもよりも低い声が、すぐ近くで聞こえて…。
ードキン
心臓は、小さく飛び跳ねた。
「タケ先輩、だよ」
あたしは出来るだけ平常心を保ってそう言った。
タケ先輩はニッコリと笑って、ただ静かに日浦くんを見ていた。
日浦くんの目は鋭くて、その眼差しはタケ先輩を捉えて離さなかった。