白と黒のフィス
「さてと、うるさいのもいなくなったし、飲み直すか。
オヤジ、半分でいいか?」

 彼はカウンターの上にかき集めて来た財布の中身を出していった。

「それで充分ね」

 マスターは、ちらりとも見ずに、グラスを拭きながら答えた。

 さっと右手が動き、硬貨と紙幣の山が半分になった。

 彼は残りの山をかき集めて懐へ入れた。

 ざっと見て1万平均通貨程だろうか。

 平均通貨、ジードと呼ばれる貨幣は、価値が変動するとはいえ、とりあえず世界中で取り引きされている基軸通貨なので、使い勝手がいい。

 特に、デイアメイア王国発行のジードなら、比較的価値は安定していて信用が高い。
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