白と黒のフィス
「さて、邪魔が入ったが、これでゆっくりできる」

「その黒真珠の数は、本物の様ね」

「当然だね。だから、すべての禁薬取り引きに制限が無い」

「つまり、私を所有していても問題はないって訳ね」

「どう取ってもらってもかまわんよ。
俺はお前に興味が有ったから引き取ったに過ぎない」

「どう興味があったって言うのよ」

「お前、元々、素材階級ではないだろう」

「いきなり核心付いてくるわね」

「当然だ。
物事の本質を見極めるのが薬法師だからな」

「あら、あなたは薬闘士じゃなくって?」

「もちろん、俺は薬闘士だ。
だが、薬法師も極めているだけだよ」

「それで、薬闘士さんはどうして私が素材階級じゃないって思うわけ?」

「まず、第一は言葉だ。
素材階級じゃ言葉を教えていない。
教えるのは命令だけだ」

「中には話が出来る子もいるわよ」

「自動的に受け答え出来るだけさ。
言語による思考が確立できる時期に言葉を教えられなかったら、物を言語によって論理的に考えることも出来ない」
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