白と黒のフィス
「おいしい」

 自然と言葉がこぼれた。

「おいしく煎れるコツは三つあるね」

「教えてもらえますか」

「だめね。
企業秘密よ」

 あっさりと返されてしまった。

 その様子を見て、ヒュードは口元に笑みを浮かべた。

「何かおかしいですか」

「いや、うまく演じていたなってな」

「・・・それってお店でってことですか?」

「そうだ。あの店はザーグ横丁では老舗だ。
仕入れ先は間違い無いし、商品管理もしっかりしている。
そんなところに、お前がいたんだ。
自由意志を持ったエルフの売買はご法度だからな」

「あなたが来なければうまく行ってたのに」

「何を企んでいるかは知らないが、店にばれてたら、殺処分されていたぞ」

「そんなの承知の上よ」
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