失恋の治療法 ～私が立ち直るための一週間～

翌日、仕事の昼休みを利用して綾乃を呼び出した。
「ごっめ～ん、遅くなっちゃった～。」
「いいよ、彼氏さんとイチャイチャしてたんでしょ？」
「あっバレた～？」
ったく綾乃は、彼氏が出来るといつも私にノロケ話をしたり、どこでもイチャイチャする。男って冷たい女より甘える女の方が好きみたいだから、綾乃の彼氏さん達はいつも堂々とイチャついている。
「それで、失恋から立ち直る方法って何？気になるんだけど。」
「ん、紙に書いてきた～」
綾乃は私に一枚の紙を渡した。そこには「☆失恋からの復活方法☆」とタイトルがあり、いくつか項目が付けられていた。
「それに書いてある方法はね、あやが自分で考えたの～凄いでしょ？」
「へぇ～、」
「悠子～それ全部実践してねぇ？実践期間は一週間、あやもあやの友達とかも実践したら本当に復活したんだからね～!!」
綾乃、仕事仲間に何教えてんの。
「分かった、でも一週間で忘れられんの？」
「うん、あやの自慢の作戦なんだから間違いナシよんっ。」
「ふ～ん、あっもうそろそろ昼休憩終わっちゃうからもう行くね。」
「あやも仕事の準備あるから行くねっ。」
「綾乃、仕事頑張ってね。」
「悠子…ありがとう～行ってきまーす」
綾乃はそう言って姿を消した。
私は普通に株式会社の受付嬢として働いているけど、綾乃は違う。綾乃は銀座でも名を上げてきていて、雑誌でも特集され話題のクラブのホステスをしている。
綾乃は実際本当に美人で尚かつ甘え上手なため、人気があり数多くの恋愛経験がある。男と駆け落ちしようとしたり、修羅場で女と殴り合いをしたり…一部伝説と化したものまである。
だから私は昔から恋愛関係の相談は全て綾乃にしてきた。心理学だのなんだの利用して男を落とすなんて言ってるオジサンオバサンより綾乃の方がよっぽど実用的で効果的。
元彼との仲を繋いでくれたのも、綾乃。だから今回も、綾乃に思いきって甘えてみようと思った。
―忘れなきゃ、未来なんてないよ…―
綾乃が昔言ってた言葉がふと頭によぎった。