あなたに助けられたから
ポタリ…ポタリ…と、両手に持っている缶が涙で音を立てる。
「……ック……」
噛み殺し切れなくなり、嗚咽に変わる。
「…ごめんな?俺、さ。
お前が理科準備室に閉じ込められてるの、掃除の終わりで知ってたんだ。
助けようとしたのに、周りの友達に「ほっとけ」って言われて…。
俺、動けなかった。」
そういえばあの時、理科準備室の前で、相当クラスメート達が騒いでいたっけ。
「けど…なんで、私だって分かったの?」
嗚咽まじりでそう言った。
「…いじめられてる子の名前、学年中に知れ渡ってたから…」
「そっか…。でも、あれだね、私の事、覚えててくれて…。
優しいね。ヤスノリは。
ごめんな…なんて、ヤスノリには関係ない事じゃん。
けど、今日あいつらに会って分かった。
あいつらが覚えてるんなら、ヤスノリは私の事なんか放っといても良いよ。
あいつらに何されるかわかんないよ?」
そうヤスノリに言うと
ガバッと両肩を掴まれ、ヤスノリは私に
「バカヤロー、何年も前の話だろっ!!
しかもお前と一緒にいるだけでいじめるんなら、あいつらは相当ガキだ!!
俺、あいつらに勝つ気満々だぞっ!?
…なんで、そんな事言うんだよ…?」
ヤスノリは私の胸にそっと、頭を寄せた。