あなたに助けられたから
「どこにいんだろ…」

私は誰も聞こえてないのに呟く。

広い公園の一角を見渡す。

自転車が停まってるのを発見した私は、そこに近づいて行った。


カツカツ。
サンダルの音が虫の声と共に響く。


暗闇の中段々とハッキリしてきたシルバーの自転車の色。

やっぱりヤスノリだ。


けど、誰もいない。


「ヤスノリ?どこ…?」

私は見渡す。


そうすると
背後から、ピタッと冷たい何かを押し付けてくる誰かが来た。


私はビクッとなり、後ろを振り向く。


「お前、何怖がっちゃってんの?」

背後にいたのは、ジュースの缶二つもったヤスノリだった。


「だって…、夜だったしさ!!急に頬に冷たいの押し付けられたら驚くじゃん!!」

いつもの通り、言いたい事を言える私に戻る。


「わりぃわりぃ。…ほい。」

そう、ヤスノリは缶ジュースを私に手渡し

「ここのベンチに座ろうか」

と声を掛けた。
< 9 / 11 >

この作品をシェア

pagetop