やりなおし枕【BL】
俺たちが事故に遭ってから、
すでに数日が経っていた。
昴はどうしたのかと言う俺の問いに、
ただ泣きそうな顔をするだけで答えられない母さん。
それで、全てを悟った。
……あの時、昴は確かに
走りながら、俺を呼んでいたはずだ。
普段歩くのさえゆっくりで、
走るのが嫌いだと言っていたのに。
なのに、必死に、俺を呼んでた。
どうして俺は止まらなかった?
俺が、ちゃんと前さえ見ていれば。
俺が、走らなきゃよかった。
俺が、池に行こうとしなきゃよかった。
俺が、告らなきゃよかった。
俺が、公園になんて誘わなきゃよかった。
俺が、俺が、
全部、俺の所為じゃないか。
あの日、公園に行く事から
すでにアイツは嫌がっていなかったか?
なのに、どうしても
あの花を一緒に見たかった。
明日でも、明後日でも
いつだってよかったはずなのに。
馬鹿だ、俺は。