手
その日は夢を見ました。
誰か知らない人が出てくる夢で、
なんとなくその人は
腕の人なんかじゃないのかなと思いました。
次の日、目が覚めると
机の引き出しから出ていた腕は、
ぴったり半分の頭がついていました。
鼻も口も半分しかない。
首もだ。
少し下に視線を移すと、肋骨が見えた。
半分の奴は多分、男です。
この後どうなるのかを
観察していたかったけれど、
残念。
今日から3日間、
部活の遠征があるんです。
荷物の入ったカバンを持ち上げて、
半分の頭に向かって
「行ってきます」というと、
彼が少し笑った気がしました。