翔るキミ、翔んだキミ。
「ちょっと友愛センパ―…‥」
「こんちわー」
「お願いしまーっす」
と、そこへ、ナイスタイミングで先輩たちが体育館へやってきた。
「どぉーもー♪」
あっという間にいつもの空気に戻り、さっきまでの時間が、まるで夢のように感じた。
…でも、現実だと受け止められたのは、やっぱり恵摘の一言で。
「後でじっくり聞くから。」
通りぎわにさり気なく言われたせいもあってか、さっきまでの恐怖は感じない。
その代わり、恵摘が全然知らない人に思えて寂しくなった。
振り返って恵摘を見る。
多少の遠近作用はあれど、あいつ、身長あんなに伸びたんだ…
光の反射はいくらかあれど、髪、あんな色してたんだ…
服着てるから分かりにくいけど、身体、あんなに男の子っぽかったんだ…
先輩たちの輪に近づくほど、あたしの懐かしむ恵摘は消えていく。