ありえない高校生マリッジ
「ゴメン・・・那岐ちゃんを苦しめてしまった言い方して」
伊集院先輩は自嘲的になり、表情の曇った私に謝る。

「・・・事実でしょ?私は生まれない方が良かった人間なんです」

私の父親だと思っていた鷹栖さんは代枝子さんの望みを叶える為に、幼い渚君を捨てて、この屋敷を出た。

私さえ居なかったら、鷹栖さんはきっと今もこの屋敷で渚君のお世話をしていた。

渚君だっておかしくはならなかった。

「・・・皆、私のせいで・・・人生おかしくなってる。渚君だって、事実を知れば、私のコト嫌いなる」

「どうしてそんな風に断言できるの?それは渚が判断するコトだ。大体、鍛造叔父さんが悪いんだ。妻や子供が居るのに、他の女性に手を出して・・・」

そして、私が出来た・・・

「伊集院先輩・・・」

彼がどんなに私に慰めの言葉をくれても、今の私には全く届かなかった。
こんな風に、絶望したのは生まれて初めて。


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