ありえない高校生マリッジ

那岐も中田も柏木さんも、智樹君の世話でてんやわんやになっていた。

「おいっ、スープは飲んだぞ」

いつもなら、俺が何も言わなくても運ばれてくる料理も催促しないと運ばれてこない始末。

「赤ちゃん一人の世話にどれだけの人と手間をかけている…まったく」


俺は頬杖を付いて呆れた。

「どうぞ。サラダです」

俺の目の前に那岐が前菜のサラダを置いた。

「智樹は？」

「あ・・・今、眠っています」

「ふうん、そうか・・・これだけ、周囲を騒がせておいて、無邪気なもんだな・・・」

「赤ちゃんは寝るのが仕事ですから・・・」

「楽な仕事だな・・・お前も座って、食えよ。那岐」

「はい」

那岐はメイド服のまま、俺の目の前の椅子に腰を下ろし、まま、冷めたスープをスプーンで掬い、口に運んだ。

「智樹のヤツ…お前に偉く懐いてるな・・・」

「両親が亡くなり、私がずっと智樹の世話をしていたから・・・」

「・・・鷹栖夫妻はいつ亡くなったんだ？？」

「半年前です」

「半年前？智樹君は11ヵ月だろ？じゃ智樹君が生後5ヵ月で亡くなってコトか？何で、半年間、一人で世話をしてた？？」

「お金も僅かだけど、あったし・・・一人で頑張ろうと思って・・・」