ありえない高校生マリッジ
「いただきます」

私は湯気の立つコーヒーにミルクと砂糖を入れて、スプーンでかき混ぜた。

「奥様は何処までご存知なんですか?」

「どこまでとは・・・?」

平井さんの質問に疑問形で返した。

「その様子だと何もご存知ないようですね・・・」

「社長代理も薄々、汲み取っていると思うので、私からお話しますね」

「はい・・・」

「社長と副社長である社長代理の両親が何故、半年間の海外出張に出かけたのか言うと・・・」

「仕事の為ではないのですか?」

「社長は…スキルス性の胃がんを患っておりまして・・・余命半年なんですよ。
その治療に集中するため、海外に・・・しかし、多分余命を伸ばせても、癌の完治は見込めないと思われます」

「渚君は知ってますよね・・・」

「いいえ。でも、社長代理は勘の鋭い人。きっと、二人の出張に疑問を持っていると思いますよ」

「・・・」

「今会社は常務派と社長派に分かれ、次期後継者を誰に据えるか、激しい争いをしています。そこに、社長の病。
社長はご子息である高校生の渚様を急遽、社長代理に据えました。息子の渚様に会社を継がせるのが、社長の望み。
私も社長のご期待応えようと、全力で渚様をサポートしています」


「・・・」

「苦肉の策と言いますか・・・会社側としては・・・渚様ではと言う意見もあるのですが・・・」








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