麻川くんより、バカでした。

病院に行くと、お母さんがベッドで寝ていた。
「お母さん~遊びにきたよ!!」
「おーリン、来てくれたの??」
笑顔で迎えてくれた。
私はお母さんの笑顔が大好き。
いつもこの笑顔を見て育ってきた。

お母さんが入院し始めたのは3年前。
乳がんだった。
私の誕生日の4日後、その病気のことを言われた。
手術が成功してお母さんは家に戻ってきた。

でも、何故かお母さんは度々病院に入院していた。
町の病院、大きな病院、大学病院、いろんなところで手術をうけていた。
成功したはずなのに。
お母さんのガンは、とりきれていなかったのだ。
乳がんが取りきれずに子宮ガンも一緒に悪化していった。
もう、どこの病院でも治せないらしい。
だから今は新しくできた病院で
緩和ケアの病棟でお世話になっている。




「今日はね、森岡さんがこの人形を作ってくれたの!!可愛いでしょう??」
森岡さんというのは、お母さんの担当の看護師さんだ、
私は森岡さんを見てて看護師になりたいと思った。

「あららぁ!!リンちゃん!!来てくれてたの!!」
ガラッとカーテンを開けて森岡さんがきてくれた。
もう1人の看護師さんは高坂さん。
ちょっとギャルっぽいけど優しい看護師さん。
私はこの2人が大好きだった。

「お母さん、私今日はもう帰るね。もうすぐテストだし。また明日もくるから!!バイバァ~イ!!」

お母さんは入り口まで車イスでついてきてくれた。
そして、精一杯笑って手を振ってくれる。
そんなお母さんが私は大好きだった。
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